識者は予想する!山川vs出口第3回目は・・・

山田タカユキ(格闘技WEBマガジンMMA-ZEN主宰)

※  自ら立ち上げたインターネットサイト「格闘技WEBマガジン MMA-ZEN」にて北海
道で活躍する格闘家・武道家をクローズアップし続けて居り、BOUTやパンクラス札幌
大会の取材も継続的に行っている言わば「北海道格闘技界影のご意見番」
プロファイターとしても豊富な試合経験を誇り、一時期はタイに在住しながらムエタ
イの試合に出場していた過去も有り。

山川賢誠vs出口智也の一戦は、水と油の戦いだ。山川の戦い方次第では水が油をはじ
くが如く、出口を寄せつけずに勝利するだろう。例えるならば、BOUT-29での山川vs
津田戦の再現である。
これはどちらが強いといった問題ではなく、ジャンケンのような相性の問題だ。山川
が負けた相手に出口が勝つ場合もあるし、その逆もしかりである。山川が”負けない
戦い方”に徹した場合、方程式で出した回答のように「山川勝利」が導き出されるの
だ。
しかし、「なんのためのRISEルールなの?」と首を傾げたくなる山川の非好戦的な
ファイトスタイルは、関係者には不評である。つまり「見ていて面白くない。興行が
盛り上がらないじゃないか」というわけだ。
ましてや今回の相手は打ち合い上等、ハードパンチャーの出口智也だ。山川とて負け
ず劣らずのハードパンチを持っているのだから、ファンとしては二人の「打ち合い」
を見たくてチケットを買っているのである。あからさまに打ち合いを避けることは
ファンへの裏切り行為に等しい。
よって「100%自分のファイトスタイルを貫き通せば勝利は固いが、それではイベン
トは盛り上がらず、メインイベンターとしての資質を疑われてしまう。だから少しは
出口のファイトスタイルにも付き合わなければならない」
これが山川が思い描く着地地点ではなかろうか。問題はそのパーセンテージだ。おそ
らく8-2、もしくは7-3といった割合でファイトスタイルを出口に譲るのではないか。
出口に勝機があるとすれば、そのパーセンテージを6-4、可能であれば5-5まで引き出
せるかどうかに懸かっている。

作戦としてはこんな方法はどうだろう。名付けて「天心vsロッタン作戦」だ。
1R、出口は山川が距離を置いて離れるたびに、外国人のように両手を広げて「おい
おい、男らしく打ち合おうじゃないか」というオーバージェスチャーを繰り返すので
ある。目的は観客に「山川は逃げている」と印象づけることにある
2Rも困惑した表情で「そりゃないだろ。君はそれでも男なのか?」とジェスチャー
し挑発を続ける。終盤には鼻息を荒くする態で「来いよ!打ち合え!」と手招きジェ
スチャーを繰り返し、同時に出口の応援に駆けつけた応援団が「山川、打ち合え
よ!」と、声を大にして叫ぶ。こうして会場全体の空気を「山川は打ち合いに応じる
のか?それとも逃げるのか?」といった一点に収斂させていくのである。
こうして「観客の興味」を味方につけていき、3Rには山川の応援団から「賢誠、いい
かげんにしろ!」と声が出ていればベストだろう。山川のような優等生キャラで作ら
れた選手はこういったプレッシャーには弱い。しかし、この作戦の本当の目的は延長
戦に持ち込むことにある。
このような状況で延長戦に持ち込めば、もはや打ち合いを避けることは許されない。
もし避ければ”戦犯”扱いされることは必至だからだ。こうなれば前述のパーセン
テージを5-5に持ち込むことも十分に可能だろう。ここで初めて出口は勝負を賭ける
のである。
仮に山川が打ち合いに応じず敗北した場合でも、山川に対して「勝負を逃げた卑怯
者」というレッテルを貼って敗北しておくことで、ダイレクトリマッチに繋げるとい
う道も開ける。単純に猪突猛進で向かって敗北したのでは「山川のテクニックに翻弄
された」と言われて終わりだ。これまでの苦労も水泡と帰してしまう。
出口は内向的な性格なのか、リング上でのパフォーマンスに乏しい。しかし「今年に
賭けている」というのであれば、これくらいの新境地は見せてほしいものだ。