BOUT37 試合レポート(スポーツライター布施鋼治)

【ノースエリア格闘技イベントBOUT37】

▼日時:
2019年6月30日(日)
17時開場 17時30分試合開始
▼会場:
コンカリーニョ(JR琴似駅直結)

北海道札幌市西区八軒1条西1丁目1−1
▼主催:
BOUT実行委員会

TEL:011-562-3291

URL:http://bout.jp/

大会結果

北海道唯一の立ち技格闘技イベント「BOUT37」は6月30日札幌・琴似コンカリーニョで開催された。試合数は4試合と少なかったが、いずれも激闘となり、超満員となった場内は熱狂の渦が巻き起こった。

 

RISEランキング戦フェザー級3分3ラウンドEXR1R

泰良拓也(パウンドフォーパウンド/RISEフェザー級6位)

vs

山川賢誠(kickboxing Academy Sapporo/RISEフェザー級7位)

勝者山川1R2’43KO

三日月蹴りを効かせると、山川賢誠は一気に前に出た。右フックをスマッシュヒットさせると、泰良拓也は後退を余儀なくされる。そこで山川は痛烈な左ストレートを炸裂させ、泰良をキャンバスに這わせた。腹這いの体勢で倒れ込んだ関西からの刺客はしばらく起き上がることができなかった。
その瞬間のどよめきと直後の大歓声といったらなかった。1R2分43秒、山川のKO勝ちだ。地元札幌でメインの大任を果たした格好だが、試合開始早々先制のダウンを喫したのは山川の方だった。
泰良からボディ攻撃を受けると、やせ我慢なのか山川はニヤリ。そこでボディストレートと右を追撃されると、大きくグラついてしまう。さらに右を合わせられると、山川はダウンカウントを聞いた。
「集中!」
「距離をとれ!!」
セコンドは必死にゲキを飛ばすが、立ち上がったばかりの山川はクリンチで凌ぐのが精一杯。勝負は時間の問題かと思われた。それからの大逆転劇だっただけに、会場は一層ヒートアップした。後日、山川の関係者は「三日月蹴りは打倒泰良の秘策だった」ことを打ち明けた。
試合後、リング上でヒーローインタビューを受けた山川は安堵の表情を浮かべた。
「最初は泰良選手の踏み込みの速さに対応できなくて、あまり記憶ないけどダウンを許してしまった。でも、いまの僕は連敗中。何が何でも勝たなければならなかったので、こういう形で勝ててホッとしています」
その後、先制のダウンを許したことについて聞くと、山川は「ダウンを奪われたシーンの記憶はあるけど、ムチャクチャ効いた」と振り返った。「でも、今回は80名くらいの応援団が来ていたので、絶対に負けられなかった」
この一戦はRISEフェザー級のランキング戦として行なわれたので、上位(6位)の泰良を破った山川(8位)はランキングを上げることになるが、今後についてビッグマウスになることはなかった。
「いまは大きいことを言っていられない。目の前に用意してもらった相手を倒してコツコツ上位に食い込んでいければ」
王者・工藤政英を筆頭に、志朗、森本“狂犬”義久、イグナシオ“El Misil”カプロンチと強豪がひしめくRISEフェザー級戦線。山川の次なる標的は誰になるのか。

 

BOUTルール57kg契約3分3ラウンド

熊谷麻理奈(WSR札幌)

vs

チェ·ウンジ(MAXFC/FEARLESS-GYM)

勝者熊谷判定3-0

今年1月20日のBOUT35でイ・スアのハイキックの前に壮絶なKO負けを喫した熊谷麻理奈。それから5カ月、満を持して再起戦のリングに上がった北の女王に、主催者は試練を与えるべく再び韓国の強打者を用意した。
チェ・ウンジ。今年5月6日、修斗30周年記念大会ではMMAでセラとの壮絶な打ち合いを制しているアグレッシブなファイターだ。そんな韓国人キックボクサーを相手に熊谷は1Rからクレバーな試合運びを見せた。
身長差を活かし、インファイトに持ち込みたいチェに懐へ入らせない。このボーイッシュな韓国人ファイターがパンチの連打を打ちながら強引に入ってこようとすると、カウンターのヒザをボディに突き刺す。
1R終了間際にはチラッと疲れた表情を見せたが、2Rになると熊谷はワンツーからのテンカオで完全に試合の主導権を握った。
途中から強打をもらったのか、チェは右目を気にしながらのファイト。倒せるチャンスは何度かあったと思われるが、熊谷はまとめきれず試合終了のゴングを聞いた。倒せそうで倒せなかったという部分で課題は残ったが、テンカオでリズムを作り、その流れを持続できたのは小さな成長だろう。9月1日の次戦が楽しみになってきた。

 

BOUTルール58kg契約3分3ラウンド

大澤辰徳(蹴空ジム)

vs

平田修(チームシャムエボルウ゛)

勝者大澤1R1’18KO

北海道在住のキックボクサー同士の一戦となった第2試合は大澤辰徳が平田修に圧勝した。1Rに試合の主導権を握った大沢は2R飛びヒザ蹴りで先制のダウンを奪う。その後も連打で追撃すると、平田は防戦一方に。レフェリーはすぐさま試合を止めた。

 

BOUTキックボクシングルール55kg契約3分3ラウンド

谷村愛翔(kickboxing Academy Sapporo)

vs

高坂文都(TEAM TEPPEN)

引き分け0-0

谷村愛翔と高坂文都の高校生同士の一騎討ちはキックボクシングの明るい未来を感じさせてくれる一戦だった。当初高坂は安斎宙と対戦する予定だったが、練習中に安斎が左肩腱板断裂の大ケガを負い、ドクターストップに。そこで急きょ安斎と同門の谷村に白羽の矢が立ち、プロデビュー戦となった。
試合前は「高坂有利」の声が大きかった。それはそうだろう。高坂は初代TENKAICHIフライ級王者で安本晴翔と引き分けた高坂侑弥の実弟。群馬県から4年間片道3時間かけて千葉のTEPPEN GYMまで通い、昨年春地元の中学を卒業するや単身上京し、都心の高校に通いながらTEPPEN GYMで汗を流すやる気満々の熱血漢であるからだ。高坂も今回がプロデビュー戦だった。
試合は高坂が攻撃したら、谷村が反撃する展開に。高坂は左ストレートをヒットさせれば、谷村は右ミドルを打ち返す。1Rは高坂がややリードという展開だったか。
2Rになってもクロスゲームは続く。ポーカーフェースのまま高坂が左フックを当て、左三日月で追撃すれば、谷村は右のテンカオからの左で一歩も引かない。
3R、コーナーを背にする場面もあった谷村だったが、右ミドルで高坂のポーカーフェースを一瞬崩す。しかし、その後高坂も反撃し試合の流れを渡すことはなかった。2分過ぎになると、谷村が手数を出して試合をまとめた。このラウンドはやや谷村有利だったか。 試合終了のゴングが鳴ると、超満員札止めの場内から惜しみない拍手が沸き起こり、しばらくやむことはなかった。ジャッジは29-29(二人)、30-30のドロー。決着はつかなかったとはいえ、両者の伸びしろとポテンシャルを感じさせる一戦だった。数年後、再戦を見てみたい